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【図解】外国人ビザ手数料5倍へ|日本人優遇の構造とは

政府は2026年6月19日、外国人向け査証(ビザ)の発行手数料を定める政令の一部改正を閣議決定しました。一次ビザは3,000円から15,000円へ、数次ビザは6,000円から3万円へと、いずれも5倍に引き上げられます。適用は2026年7月1日の申請分から。改定は1978年以来48年ぶりです。注目すべきは、同じ日に日本人の旅券手数料が引き下げられる点で、負担を訪日・在留する側に付け替える構造が浮かび上がります。

この記事でわかること

  • 改定の中身: 7月1日から外国人ビザ手数料が一次3,000円→15,000円、数次6,000円→3万円へと5倍に。48年ぶりの改定です。
  • 日本人優遇の構造: 同日に日本人の10年旅券手数料は約16,000円→約9,000円へ引き下げ。財源を外国人側に求める設計になっています。
  • 今後の論点: 政令改正だけで5倍にできた決め方の是非と、「労働力か治安か」という日本が選ぶべき方向性です。
目次

外国人ビザ手数料はいつから5倍?7月1日改定の全体像

今回の改定で何がどう変わるのか、まず全体像を整理します。政府が6月19日に閣議決定したのは、ビザ手数料を定める政令の一部改正です。対象は外国人に発給する査証で、一度の入国に限られる「一次ビザ」と、有効期間内に複数回入国できる「数次ビザ」の双方が引き上げられます。

区分現行改定後(7月1日申請分〜)
一次ビザ(1回限り入国)3,000円15,000円(5倍)
数次ビザ(複数回入国)6,000円30,000円(5倍)
適用開始2026年7月1日の申請分から

このように一次・数次ともに5倍という大幅な改定となり、適用は7月1日の申請分からです。まずは基本となる「いつから・いくら」を押さえておきましょう。

Q. ビザ手数料はいつから・いくらになりますか?

A. 2026年7月1日の申請分から、1回限り入国の一次ビザが3,000円→15,000円、複数回入国の数次ビザが6,000円→3万円に上がります。いずれも5倍で、改定は1978年以来48年ぶりです。

なぜ48年ぶりの引き上げなのか|観光立国路線の転換点

手数料が半世紀近く据え置かれてきた背景には、2003年の観光立国宣言以降、政府がインバウンド誘致を最優先し、ビザを集客の障壁にしない方針を続けてきた構造があります。物価が大きく動いてもビザ手数料だけは動かさない状態が長く続き、欧米諸国と比べた手数料の低さが指摘されてきました。

茂木敏充外務大臣は記者会見で、引き上げの理由を物価上昇と為替相場の変動への対応と説明し、「すぐにインバウンドへの影響が出るとは考えていない」と述べています。為替については、円安がどこまで進み、どのような対応が議論されているかを「【図解】ドル円161円台の理由|為替介入と日本の通貨主権」で詳しく解説しています。今回の改定は、長年の観光立国路線が一段階転換した節目と位置づけられます。

Q. なぜ48年も据え置かれ、今になって引き上げるのですか?

A. 観光立国路線でビザを集客の障壁にしない方針が長く続いたためです。茂木外相は今回、物価上昇と為替変動への対応を理由に挙げており、欧米と比べた手数料の低さも背景にあります。

日本人は優遇される|旅券手数料引き下げと出国税の構造

今回の措置を理解するうえで欠かせないのが、外国人の手数料だけが動いたわけではないという点です。下の図は、同じ7月1日に外国人と日本人それぞれの負担がどう変わるかを示したものです。

2026年7月1日 出入国コストの組み替え 外国人 | 負担増 ビザ手数料(一次) 3,000円 → 15,000円 ▲ 5倍に引き上げ 日本人 | 旅券は負担減 旅券手数料(10年) 16,000円 → 9,000円 ▼ 出国税 1,000→3,000円 ▲ (日本人も負担)

外国人のビザ手数料が5倍に上がる一方、日本人が取得する旅券(パスポート)の手数料は同じ日から大幅に引き下げられます。10年有効の旅券は約16,000円から約9,000円へと下がります。あわせて出国税(国際観光旅客税)が1,000円から3,000円に引き上げられますが、これは国籍を問わず課されるため、日本人の海外旅行時にも負担が発生する点には注意が必要です。

今回の措置で注目すべきは、外国人の入国コストを引き上げる一方、日本人の旅券手数料を引き下げる構造が、同じ日に同時に動いた点です。これまでの制度改正では、外国人と日本人の負担を同じ方向に動かすか、外国人側に配慮する場面が少なくありませんでした。自国民の旅券負担を明確に軽くし、その財源を訪日・在留する側に求めるという設計は、受益と負担の対応を自国民本位で組み替えた転換点として評価できます。(編集部分析)

Q. 日本人にも影響はありますか?

A. 査証手数料は外国人が対象で、日本人は支払いません。むしろ同日から日本人の10年旅券手数料が約16,000円→約9,000円に引き下げられます。ただし出国税は日本人も負担します。

Q. 出国税はいつ・いくら上がりますか?

A. 国際観光旅客税(出国税)は2026年7月1日の出国分から1,000円→3,000円に上がります。国籍を問わず課されるため、日本人の海外旅行時も対象で、家族4人なら4,000円→12,000円になります。

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誰が負担増になるのか|対象国と中長期滞在者への影響

5倍という数字だけが独り歩きしがちですが、すべての外国人が対象になるわけではありません。誰が影響を受け、誰が受けないのかを整理します。

区分該当例手数料引き上げの影響
ビザ免除国(71か国・地域)韓国・台湾・米国・欧州など短期観光は対象外(影響なし)
ビザ取得義務国中国・ベトナム・フィリピンなど短期渡航で査証が必要なため対象
中長期滞在者(就労・留学)国籍を問わず査証が必要な人査証手数料に加え在留資格手数料も増(別制度)

訪日客の大半を占める韓国・台湾・米国・欧州などはビザ免除措置の対象であり、短期観光では影響を受けません。一方、ビザの事前取得が必要な国からの渡航者と、就労・留学で日本に中長期滞在する人が負担増の中心となります。なお、日本国内で行う在留資格の変更・更新手数料も6,000円から4万円へ引き上げる方針が示されていますが、これは入管法改正にもとづく別制度であり、今回の査証手数料の政令改正とは分けて理解する必要があります。

Q. 誰が手数料引き上げの対象になりますか?

A. ビザの事前取得が必要な国(中国・ベトナム・フィリピン等)からの渡航者です。韓国・台湾・米国・欧州などビザ免除71か国・地域からの短期観光客は対象外で、訪日客の大半は含まれません。

政令改定という決め方の論点|国会を通さない5倍引き上げ

今回の引き上げで見落とせないのが、その決め方です。5倍という大幅な改定が、国会審議を経ず、政令改正の閣議決定だけで実現しました。増収分は在外公館の領事活動や外交実施体制の強化、不法滞在対策などに充てる方針です。

ただし、行政府の判断だけで国民生活や対外関係に関わる手数料を一気に動かせる範囲が広すぎる構造は、方向性の是非とは別に検証されるべき論点です。今回の改定そのものは自国民本位の組み替えとして支持できるとしても、閣議決定で動かせる項目が多すぎる仕組みは、将来別の政権が逆方向の改定を行う余地も残します。外国人支援に携わるNGO担当者からも、「一気に5倍はとんでもないが、省庁の判断で簡単にできてしまうことが問題だ」という、決定プロセス自体への指摘が出ています。(編集部分析)

Q. 増収分は何に使われますか?

A. 在外公館の領事活動や外交実施体制の強化、不法滞在対策・入管体制の充実などに充てる方針です。ビザ手数料収入は予算案ベースで約1,200億円が見込まれています。

専門家・世論の反応|「まだ安い」と「過重負担」の対立

世論は賛否が並立していますが、X上では引き上げを支持する声が目立ちます。「48年放置してきた外務省の怠慢」「まだ安すぎる、もっと上げるべき」といった投稿が、いいね99・インプレッション2,300超を集めるなど一定の拡散を見せています。是正の方向そのものに前向きな反応が中心です。

一方で、外国人支援団体や一部の議員からは、外国人への過重な負担を懸念する声も上がっています。報道各社の公式発信では、茂木外相が物価上昇と為替変動を理由に挙げ、インバウンドへの即時の影響を否定した点が共通して取り上げられました。全体の温度感は中程度で、「国際水準への是正・財源確保として必要」とする賛成と、「外国人への過重負担」とする反対が向き合う構図です。

Q. インバウンドは減りますか?

A. 茂木外相は「すぐにインバウンドへの影響が出るとは考えていない」と説明しています。訪日客の多くはビザ免除国からで対象外のため、短期観光全体への即時の打撃は限定的とみられます。

今後の展望|労働力か治安か、日本が選ぶべき道

最後に、この改定が突きつける本質的な問いを考えます。負担増によって日本が渡航先・働き先として選ばれにくくなるのではないか、という慎重論があります。労働力不足を理由に、外国人材の確保を優先すべきだという主張です。

これに対し、編集部は別の見方を示します。手数料が上がったことで日本が選ばれにくくなるのであれば、それはむしろ受け入れて構わないという立場です。AIの進化で定型業務の省人化が急速に進む中、安価な労働力に頼り続ける発想自体が時代に合わなくなりつつあります。人手の量を外国人材で埋める前提よりも、治安と社会の安定を優先する方が、長期的な国益にかなうと考えます。制度設計の背後に「安い労働力を確保したい」という動機が潜んでいないか、引き続き注視する必要があります。(編集部分析)

外国人施策をめぐる負担と給付の議論は、本件にとどまりません。給付面での論点は「【図解】宮出議員の少子化対策発言とは|外国人給付の論点を検証」でも扱っています。今回の手数料改定が、日本の出入国政策をどの方向へ動かしていくのか、施行後の運用を見守る必要があります。

参考情報

  • 時事通信「外国人ビザ手数料を値上げ 48年ぶり、7月以降」
  • TBS NEWS DIG「7月から外国人向けのビザ手数料を5倍に引き上げ」
  • FNNプライムオンライン「外国人の入国ビザ手数料5倍に引き上げ閣議決定」
  • 外務省「旅券手数料の改定(旅券法の改正)」
  • 国税庁・観光庁「国際観光旅客税について」

この記事を書いた人:あいすべ(監修・編集統括)

健診・治験の現場で10年以上、臨床データの精査に従事。地方公務員として公立病院に勤務し、経営推進課の責任者を経てマーケターに転身。データ検証と実践哲学(葉隠)の両面から、情報のバイアスを見抜く視点で「大和帰郷」を運営しています。資格・経歴は実在し、求めに応じて証憑を提示できます。。

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