大阪都構想とは、大阪市を廃止して複数の特別区に再編する制度改革で、2015年・2020年の住民投票で否決されたものの、日本維新の会が国会の副首都法案と連動させて3度目の実現を目指している構想です。2026年6月には制度設計を担う法定協議会が始動しましたが、自民党・公明党は参加せず、公明党は7月下旬から反対のための対話集会を予告しています。
この記事でわかること
- 法定協議会は自民・公明抜きで始動:6月25日、特別区の数を「4区・8区・24区」の3案に絞って議論する方針が決まりましたが、自民・公明両党は参加していません。
- 公明党は7〜9月に16会場で反対集会:2020年は賛成に転じた公明党が、今回は「大阪のミライを考える会」と題した反対集会を大阪市内で開きます。
- 3度目の住民投票は2027年春が視野:法定協議会は2026年12月上旬までに素案取りまとめを目指しており、2027年春の統一地方選と同日実施が想定されています。
何が起きたか|副首都法案審議入りと法定協議会始動
国会では、副首都法案が2026年6月26日に衆院議院運営委員会で特別委員会への付託が議決され、6月30日には特別委員会で趣旨説明・質疑に入りました。与党が委員長の職権で開催を決めたことに野党が抗議し、審議を欠席する状態が続いています。
この副首都法案は、大阪都構想が実現した後に「都」への名称変更を可能にする法律です。当初の付則案には、名称変更の是非を問う住民投票の対象を大阪市民以外の大阪府民にも広げられる内容が含まれていましたが、自民党内から批判が相次ぎ、高市首相が修正を求めた結果、住民投票の対象は大阪市民限定のまま決着しています。
一方、大阪府・市では2026年6月、3度目の制度設計を担う法定協議会が再設置されましたが、自民党・公明党は「3度目の参画はしない」との立場を取り、不参加のまま議論が進んでいます。付則を巡る自民党内の慎重論と、大阪地元での自民・公明の不参加は、国政と地方政界の両方で維新の3度目挑戦に逆風が吹いていることを示しています。このねじれの経緯は「副首都法案に自民が大反発|付則の都構想ルール変更の中身を解説」や「副首都法案が職権で審議入り|争点は付則の大阪都構想」で詳しく解説しています。
自民党・公明党の反対理由とは|法定協議会ボイコットの裏にある維新との対立
自民党・公明党が法定協議会への参加を見送っている背景には、2015年・2020年と2度否決された制度を、なぜ3度目も進めるのかという根本的な疑問があります。
公明党は、2020年の住民投票では都構想に賛成する立場に転じ、維新と共同で制度案を推進した経緯があります。しかし今回は一転して反対の立場を明確にしており、公明党大阪市議団は「大阪のミライを考える会」と題した対話集会を、2026年7月25日の東住吉区を皮切りに7〜9月にかけて計16会場で開催する予定です。集会では「大阪に都構想は本当に必要か」をテーマに、識者や元市議を交えたパネル討論・質疑応答が行われる形式が予定されています。前回は賛成に回った公明党がここまで踏み込んだ反対行動に出るのは、大阪市廃止という不可逆な制度変更が現実味を帯びてきたことへの危機感の表れとみられます。
自民党についても、法定協議会不参加の姿勢は、副首都法案の付則を巡る国政レベルの対立と地続きです。大阪府民全体を住民投票の対象に広げようとした維新側の思惑に自民党内から批判が相次いだ経緯を踏まえると、大阪地元の自民党にとっても、制度設計の主導権を維新に委ねること自体への警戒感が強いとみられます(※確認中:法定協議会不参加の時期や理由の詳細な公式説明は一次ソースでの確認が限定的です)。
Q. 公明党は以前は都構想に賛成していたのに、なぜ今回は反対集会まで開くのですか?
A. 公明党は2020年の住民投票では賛成に転じましたが、今回は一転して反対の立場を取り、2026年7月25日から9月にかけて大阪市内16会場で「大阪のミライを考える会」という反対集会を開催する予定です。
Q. 自民・公明が法定協議会に参加しないと、制度設計はどう進むのですか?
A. 自民・公明が不参加のまま、維新が主導する形で特別区の区割り案などの議論が進んでおり、両党が加わらないまま素案が固まっていく可能性があります。
そもそも大阪都構想(大阪市廃止)とは|2度の住民投票を振り返る
大阪都構想は、大阪市を廃止して複数の特別区に再編し、大阪府と特別区の二重行政を解消することを掲げた制度改革です。この構想の是非を問う住民投票は、これまでに2回実施されており、いずれも僅差で否決されています。
| 項目 | 2015年5月17日 | 2020年11月1日 |
|---|---|---|
| 賛成票 | 69万4,844票 | 反対多数(賛成が僅差で下回る) |
| 反対票 | 70万5,585票 | 反対多数(賛成が僅差で下回る) |
| 得票差 | 1万741票差 | 1万7,167票差(得票率差1.2ポイント) |
| 結果 | 否決 | 否決 |
2020年の投票は2015年よりもさらに僅差での否決となっており、大阪市民の間で賛否がほぼ二分される状態が続いてきたことがわかります。この結果を踏まえてもなお、日本維新の会が3度目の実現を目指している点が、今回の法定協議会や国会審議を巡る対立の根底にあります。
Q. 過去2回の住民投票の結果はどうだったのですか?
A. 2015年は反対70万5,585票・賛成69万4,844票(差1万741票)、2020年は反対多数(差1万7,167票・得票率差1.2ポイント)で、いずれも僅差で否決されました。
3度目の住民投票はいつ|実施に向けた法的ハードルと実現の可能性
大阪都構想の制度設計を担う法定協議会は、2026年6月25日、特別区の数について「4区・8区・24区」の3案に議論を絞る方針を決めました。4区案は人口70万人規模で前回2020年投票時の区割りと同水準、8区案は35万人規模で中核市並みの規模、24区案は現行の大阪市の区の規模を維持する案とされています。
法定協議会は2026年12月上旬までに制度案の素案取りまとめを目指しており、その後の手続きを経て、2027年春に予定される統一地方選と同日で3度目の住民投票を実施する見通しとされています。ただし、自民党・公明党が不参加のまま議論が進んでいることから、区割り案の最終決定や制度案の詳細が今後の焦点となります。
Q. 大阪都構想の3回目の住民投票はいつ実施される見込みですか?
A. 法定協議会は2026年12月上旬までに素案取りまとめを目指しており、2027年春の統一地方選と同日での実施が視野に入っています。
Q. 特別区の区割り案はどうなっていますか?
A. 2026年6月25日の法定協議会で「4区(70万人規模)」「8区(35万人規模)」「24区(現行の区規模を維持)」の3案に議論が絞られています。
世論の動向と専門家の見方|「民意置き去り」批判への懸念
X(旧Twitter)上では、2度の住民投票で否決された都構想を3度目も実施しようとする動きについて、「民意を置き去りにした権力争い」との批判的な投稿が高い関心を集めています。維新幹部が他の議員の反対を押し切って推進しているとの指摘や、税金・公金の負担への不満、大阪市の浸水対策などインフラ課題の責任を都構想推進にすり替えているとの見方も見られます。
(編集部分析)2度の住民投票でいずれも民意が「反対」を選んだにもかかわらず3度目の実施が模索されている構図は、民意そのものを起点に政策を組み立てているというより、「大阪市を廃止して特別区に再編する」という結論を先に据えた上で、それをどう実現するかという手段の模索に力点が置かれているようにも映ります。副首都法案の付則を通じて住民投票の対象を広げようとした経緯や、自民・公明が不参加のまま法定協議会が進んでいる状況は、この見方を裏付ける材料といえます。
一方、高市首相が吉村代表の副首都構想を評価する発言をしたと報じられたことを受け、大阪自民や野党側が「賛成したわけではない」と火消しに回るなど、国政・大阪地方政界の間で温度差が生じている状況も報告されています。衆院の定数削減を巡る強行審議など、国会運営そのものへの批判とあわせて論じられる場面も見られ、政治手法への不信感が背景にあるとみられます。国会の運営姿勢を巡る別の事例は「比例定数45削減はなぜ危険か|新党・保守が育たない仕組みと審議強行の経緯」で解説しています。
📌 衆院の定数削減や強行審議など国会の運営姿勢をさらに詳しく知りたい方はこちら
→ 比例定数45削減はなぜ危険か|新党・保守が育たない仕組みと審議強行の経緯
大阪都構想のよくある質問
Q. なぜ2度否決されたのに3度目の実施が目指されているのですか?
A. 日本維新の会は大阪の成長・副首都化に必要な改革と位置づけていますが、批判的な世論は「2度否決された民意を無視した動き」との見方を示しており、評価は分かれています。

