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【図解】ミレービスケット生産停止の理由|ナフサ不足で包材が入らない仕組みを解説

ミレービスケット生産停止の裏側!ナフサ不足と包装材危機

ミレービスケットの生産停止とは、高知の名物菓子を製造する野村煎豆加工店(高知市)が、中東情勢悪化によるナフサ不足を原因として包装材(包材)の入荷が止まり、2026年4月23日からミレー超ビッグパックの生産を停止している問題です。6月1日からは4連ミレービスケットも停止対象となります。

「なぜお菓子の生産がナフサ不足で止まるのか」「今のナフサ不足はどこまで深刻なのか」——この記事では、ミレービスケットの生産停止を入口に、2026年のナフサ不足の現状を時系列で整理します。

この記事でわかること

  • 生産停止の直接原因: ビスケット自体の原料ではなく「包材(袋)」が入荷できないことが原因。ナフサ由来の包材フィルムが調達困難になっている
  • ナフサ不足の現状: 当初のパニック買いによる流通の目詰まりから、ホルムズ海峡封鎖による実需不足へと移行。2026年5月時点で問題は本格化フェーズにある
  • 今後のリスク: 野村煎豆加工店の担当者は「主力商品にも影響する可能性がある」と懸念を示しており、食品業界全体でも4割がすでに影響を受けている

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目次

ミレービスケット生産停止の概要|対象商品と時期

2026年5月13日、共同通信の独自取材によって、高知の名物菓子「ミレービスケット」の一部商品が生産停止になっていることが明らかになりました。

生産停止の対象と時期は以下のとおりです。

  • ミレー超ビッグパック(大容量サイズ): 2026年4月23日から生産停止中
  • 4連ミレービスケット: 2026年6月1日から生産停止予定

野村煎豆加工店の担当者は「戦争が終結してもすぐに解決する問題でもないので不安は大きい。主力商品にも影響する可能性を懸念している」と述べています。現時点では通常サイズの商品への影響は発表されていませんが、状況次第では拡大する可能性があります。

今回の生産停止の原因は、ビスケット自体の原料(小麦粉・油脂等)の不足ではありません。商品を包む包装材(フィルム袋)の入荷が遅れたり止まったりしていることが直接の原因です。


なぜ包材が入らないのか|ナフサから包材フィルムができるまで

「ナフサが不足すると、なぜ食品の袋が作れなくなるのか」——この流れを以下の図で確認してください。

ナフサ→エチレン→樹脂→包材フィルム→食品包装の連鎖 原油 ホルムズ海峡 経由で輸入 ナフサ 精製・分解 ←ここが不足 エチレン 前年比 ▲39%減 PE・PP樹脂 高密度PE ▲62%減 食品包材フィルム 入荷遅延・停止 →ミレービスケット停止 出典:石油化学工業協会(PCA)2026年4月23日、野村煎豆加工店・共同通信取材 ナフサ価格:2026年2月 約6.3万円/kL → 5月 約12.5万円/kL(約2倍に急騰)

この図が示す通り、食品の袋(包材フィルム)はナフサを出発点とした化学反応の連鎖の末端に位置しています。

具体的には、原油を精製する過程で得られるナフサを「ナフサクラッカー」と呼ばれる分解設備に通すと、エチレン・プロピレンなどの基礎化学品が生成されます。このエチレン・プロピレンからポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの樹脂が作られ、それが食品用の包材フィルムや容器に加工されます。

つまりナフサが減れば、エチレンが減り、樹脂が減り、包材フィルムが減るという一本の連鎖として生産停止が下流へ伝わっていきます。今回のミレービスケットの生産停止は「食品包材」という連鎖の末端で起きた出来事です。


2026年ナフサ不足の現状|パニック買いから実需不足へ移行した経緯

2026年のナフサ不足は、「初期のパニック買い」と「ホルムズ海峡封鎖による実需不足」という二つの要因が重なって深刻化しています。以下の4フェーズで現状を把握してください。

フェーズ1:引き金(2026年2月末〜3月初旬)

2026年2月末、米国・イスラエルによるイラン攻撃を契機にホルムズ海峡の緊張が急激に高まり、2026年3月1〜2日にイランがホルムズ海峡の封鎖を事実上発表。150隻以上のタンカーが滞留しました。日本はナフサ輸入の約74%を中東(ホルムズ海峡経由)に依存しており、輸入量が前年比約2割減。民間在庫は約20日分しかなく、影響が即座に石油化学業界に波及しました。

フェーズ2:パニック買い・流通の目詰まり(2026年3月)

封鎖直後、石油化学メーカー・包材メーカーを中心に過剰発注(パニック買い)が発生。経済産業省が「需要側の過剰発注が流通の目詰まりにつながる事例もある」と指摘しました(ジェトロ2026年5月1日)。出光興産・三井化学など大手石油化学メーカーがエチレン減産を相次ぎ発表し、在庫の薄い川下企業(包材・建材関連)から影響が顕在化し始めました。

(編集部分析)この時点でのナフサ不足は「実際の物理的不足」と「パニック発注による流通の目詰まり」が混在していた状態です。政府が「供給に支障なし」と説明し続けたのは、この段階では在庫を合算すれば数値上は確保できているという根拠からです。しかし在庫の単純合算では見えない「誰がどこで詰まっているか」というサプライチェーンの中の断絶を政府説明は捉えきれていませんでした。

フェーズ3:実需不足の本格化(2026年3月〜4月)

3月には三菱ケミカル(鹿島・水島)など国内エチレンプラント12基のうち複数基が安全操業水準まで低下し、エチレン生産が前年比39%減・高密度ポリエチレン62%減という水準まで落ち込みました(PCA2026年4月23日)。4月初旬には12基中6基が減産体制となり、フル稼働を維持できていたのは3基のみという異常事態に。

企業レベルでは2026年3月26日にフクビ化学工業が全製品の供給制限を発表。4月中旬にはTOTO・LIXIL・クリナップ・パナソニックが浴室・トイレ製品で受注停止・納期回答停止に踏み切りました。ナフサ価格は2026年2月の約6万2568円/kLから5月には12万5103円/kL(約2倍)まで急騰しています。

一方、米国・アルジェリア・ペルーなど非中東からの代替調達も進み、2026年4月は平時の倍増となる約90万kL、5月は約3倍(135万kL超)見込みとなりましたが、喜望峰ルート経由で輸送日数が14日増加・燃料コストが1.5倍増となるなど、コスト高騰という別の問題が生じています。

フェーズ4:現在(2026年5月)

政府・石油化学工業協会(PCA)は「ナフサと川中製品在庫で国内需要4か月分を確保」「中東以外の代替調達で年を越えて継続可能」と説明しています(高市首相2026年4月30日・5月発言)。しかし現場では包材・断熱材・塗料・塩ビ管・医療用プラスチックで品薄・出荷制限・値上げが続いており、専門家からは「在庫の単純加算は正確でない」「政府発表とサプライチェーンの乖離がある」という指摘が相次いでいます(東京新聞2026年4月25日・日本塗装工業会)。ミレービスケットの生産停止は、こうした現場レベルの実需不足が食品の包材という末端まで到達したことを示しています。


食品業界への波及状況|4割が影響・主力商品への拡大リスク

食品・飲料メーカーや飲食店など712の企業・団体が加盟する国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)が2026年4月27日に発表した緊急調査では、加盟する食品・飲料メーカーの4割がすでにナフサ不足の影響を受けていると回答しています。容器・包装材の調達難が主な原因で、菓子・乳製品・冷凍食品・惣菜など幅広い食品分野に及んでいます。

帝国データバンクは、ナフサ関連製品の調達リスクを抱える企業が全国で約4万7000社にのぼるとし、今夏にも倒産が急増する可能性があると指摘しています。また帝国データバンクの「食品主要195社の価格改定動向調査」では、値上げ要因に「包装・資材」を挙げた企業が約7割と集計開始以来で最高水準に達しており、ナフサ由来の包材コスト上昇が食品値上げの新たな主要因として台頭しています。

TOPPANホールディングスは包装資材の仕入れ値が2〜3割増えているとして食品・日用品メーカーへの値上げ打診を開始しており(日経2026年4月15日)、今夏〜秋にかけてさらなる値上げラッシュが起きる可能性が高いとされています。


政府の説明と現場の声|「隔たりがある」の意味

政府は一貫して「ナフサ供給に支障はない」という立場を取っています。高市首相は「国内需要の4か月分を確保」「年明け以降も供給確保できる見通し」と表明しています(2026年4月30日・5月)。石油化学工業協会(PCA)も2026年4月23日時点で「ナフサおよび川中製品の在庫で化学品全体の需要4か月分を確保」と説明しています。

一方、野村煎豆加工店の担当者は「政府の説明と現場の危機感には隔たりがある」と明言しました。この「隔たり」の正体は何でしょうか。

政府が言う「4か月分の在庫」は、ナフサ・中間製品・最終製品の在庫を合算した数値です。しかしサプライチェーンの現場では、「誰がどの段階でどれだけ持っているか」という分布の問題があります。大手石油化学メーカーに在庫があっても、それが中小の包材メーカーや最終的な食品メーカーに届く保証にはなりません。在庫の合算数値と、個別企業レベルでの「実際に手に入るかどうか」は別の問題です。TBS「報道特集」(2026年4月4日)に出演した専門家・境野春彦氏は「このままでは6月に詰む」と警告しており、政府発表と現場の危機感の乖離を端的に示しています。


よくある質問(FAQ)

Q. ミレービスケットはなぜ生産停止になったのですか?

中東情勢の悪化によるナフサ不足が原因で、商品を包む包装材(包材)の入荷が遅れたり止まったりしているためです。ビスケットの中身の原料が不足したわけではなく、「袋が手に入らない」という状況です。

Q. ミレービスケットの生産停止の対象商品はどれですか?

2026年4月23日からミレー超ビッグパック(大容量サイズ)が生産停止中です。6月1日からは4連ミレービスケットも停止対象となります。通常サイズの商品への影響は現時点では発表されていませんが、野村煎豆加工店は「主力商品への影響も懸念している」としています。

Q. ナフサとは何ですか?なぜ食品に影響するのですか?

ナフサは原油を精製する過程で得られる石油化学製品の基礎原料で、プラスチック・合成繊維・包装フィルムなどの製造に使われます。食品の中身ではなく「袋・容器・包材」がナフサ由来の素材でできているため、ナフサ不足が食品の生産停止に直結します。

Q. ミレービスケットはどこで買えますか?

通常サイズの商品は現在も各店舗や通販で購入できますが、在庫がある間に限られます。大容量のミレー超ビッグパックはすでに生産停止中のため、店頭在庫がなければ入手が難しくなります。野村煎豆加工店の公式サイトや各通販サイトで在庫状況をご確認ください。

Q. 政府はナフサ不足に対してどう対応していますか?

政府は「ナフサ供給に支障はない」「年明け以降も確保」と説明し、米国・オーストラリア・アルジェリアなど中東以外からの代替調達を進めています。ただし現場では「政府の説明と現場の危機感には隔たりがある」(野村煎豆加工店担当者)という声があり、在庫の合算数値と個別企業レベルでの実際の調達可否には差があると専門家から指摘されています。

Q. ミレービスケット以外にも生産停止の影響が出ている食品はありますか?

生団連(国民生活産業・消費者団体連合会)の2026年4月27日の緊急調査では、食品・飲料メーカーの4割がすでにナフサ不足の影響を受けていると回答しています。プリンの販売休止を検討する企業も出てきているほか、菓子・乳製品・冷凍食品など広範な食品分野に影響が及んでいます。


参考情報

  • 共同通信(Infoseek経由):https://news.infoseek.co.jp/article/kyodo_1427174210443804759/
  • ライブドアニュース:https://news.livedoor.com/topics/detail/31255666/
  • 日本経済新聞(食品業界調査):https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC229MC0S6A420C2000000/
  • 日経(ナフサ供給網解説):https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/naphtha-supply/
  • 石油化学工業協会(PCA)2026年4月23日プレスリリース:https://www.jpca.or.jp/
  • ジェトロ2026年5月1日記事:https://www.jetro.go.jp/
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