「ひろゆき&いずみ新党(仮)」とは、実業家のひろゆき氏(本名・西村博之氏)と参議院議員の泉房穂氏が2026年7月20日に結成した地域政党です。7月27日に東京都選挙管理委員会へ政治団体の設立を届け出ており、2027年4月に予定される統一地方選挙で、任期満了を迎える東京23区のうち11区の区長選すべてに候補者を擁立する方針を掲げています。党名は仮称で、正式名称は公募で決めるとしています。
この記事でわかること
- 届け出は都選管、狙いは11区の区長ポスト: 7月20日に結成し27日に東京都選管へ届け出た地域政党で、2027年4月に任期満了を迎える中央・文京・台東・墨田・大田・世田谷・渋谷・豊島・北・板橋・江戸川の11区長選すべてに候補を立てる方針です。
- 政策の柱は「子ども・教育」と「負担減」: 泉氏が明石市長時代に実行した所得制限なしの「5つの無料化」を軸に、ITとAIによるデジタル行政を重ねる設計で、将来的な国政進出も視野に入れています。
- 勝負は候補者の質と資金で決まる: 候補者は公募のため顔が見えておらず、11区に11人を立てれば供託金だけで1,100万円が必要になります。都内の区長選では組織票が新顔を退けた例が続いており、告示までの1年半で組織を作れるかが分岐点になります。
ひろゆき・泉房穂の新党結成、決まっているのはどこまでか
今回の動きで確定しているのは、政治団体としての設立手続きが済んだところまでです。政策の骨格と擁立方針は示されていますが、候補者の名前や正式な党名はまだ決まっていません。まず事実関係を順に整理します。
7月20日に結成、27日に東京都選管へ届け出
報道によれば、新党が結成されたのは2026年7月20日です。その1週間後の7月27日に、東京都選挙管理委員会へ政治団体の設立が届け出られました。国会に議席を持つ政党としての届け出ではなく、活動区域を東京都内に置く地域政党としての手続きにあたります。
体制は共同代表2人制で、ひろゆき氏と泉氏が並んで代表を務めます。泉氏は2025年7月の参議院選挙で兵庫県選挙区から当選した無所属の現職議員で、それ以前は2011年から3期12年にわたって兵庫県明石市長を務めました。
党名は仮称のまま、正式名称は公募で決める
現在の「ひろゆき&いずみ新党」はあくまで仮の名前で、正式名称はこれから公募で決定するとしています。候補者についても同じく公募方式をとる方針で、ひろゆき氏は「まともな大人を募集しております」と述べています。
ここまでの内容を一覧にすると、次のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 党名 | ひろゆき&いずみ新党(仮)/正式名称は公募 |
| 結成日 | 2026年7月20日 |
| 届け出 | 2026年7月27日/東京都選挙管理委員会に政治団体設立を届け出 |
| 共同代表 | ひろゆき氏(本名・西村博之氏)/泉房穂氏(参議院議員・無所属) |
| 最初の標的 | 2027年4月の統一地方選挙/東京都内11区の区長選すべて |
| 重点政策 | 子ども・教育、負担減、ITとAIによるデジタル行政 |
| 候補者 | 公募(2026年7月30日時点で氏名は未公表) |
| 将来の展望 | 国政進出も視野に入れると説明 |
表のとおり、枠組みと目標は明確に示されている一方で、実際に選挙を戦う人の顔と党名という「中身」は空白のままです。つまり現段階は、器を先に作って中身を公募で埋めにいく段取りだと言えます。
標的は2027年4月の統一地方選、都内11区長選
新党が最初の戦場に選んだのは、2027年4月に予定される第21回統一地方選挙です。国政選挙でも都知事選でもなく、東京23区の区長ポストに的を絞ったことが今回の特徴です。
対象となる11区と区長の任期満了日
報道で挙がっている対象は、中央、文京、台東、墨田、大田、世田谷、渋谷、豊島、北、板橋、江戸川の11区です。この11区は東京都選挙管理委員会が公表している任期満了日の一覧と一致しており、いずれも2027年4月中に区長の任期が切れます。
| 区 | 区長の任期満了日 | 地域 |
|---|---|---|
| 台東区 | 2027年4月22日 | 都心・城東 |
| 豊島区 | 2027年4月22日 | 城北 |
| 中央区 | 2027年4月26日 | 都心 |
| 文京区 | 2027年4月26日 | 都心 |
| 墨田区 | 2027年4月26日 | 城東 |
| 江戸川区 | 2027年4月26日 | 城東 |
| 大田区 | 2027年4月26日 | 城南 |
| 世田谷区 | 2027年4月26日 | 城南・城西 |
| 渋谷区 | 2027年4月26日 | 都心・城西 |
| 北区 | 2027年4月26日 | 城北 |
| 板橋区 | 2027年4月26日 | 城北 |
11区のうち9区が4月26日、台東区と豊島区が4月22日に任期満了を迎えます。ここに人口約92万人の世田谷区や、約70万人規模の大田区・江戸川区といった大票田が含まれている点は見逃せません。なお統一地方選そのものの投開票日は、2026年7月30日時点でまだ確定していません。
なぜ国政ではなく区長選を選んだのか
ひろゆき氏は狙いをこう説明しています。「地方自治体の方から変えるんだったら、まだ可能なのかな。国会は無理かなと思って」。国政の議席を積み上げる道ではなく、自治体の首長という執行権のあるポストを取りにいくという発想です。
この考え方には制度上の裏づけがあります。区長は予算案の編成権を握る執行機関の長で、議会の同意を得られれば独自政策をその区だけで実行できます。泉氏が明石市で無料化政策を次々に実現できたのも、市長という立場にあったからです。地方議員を1人当選させても政策は動きませんが、首長を1人取れば区の予算が動く、という違いがあります。
結成から統一地方選までの流れを整理すると、次のようになります。
図のとおり、済んでいるのは最初の2段だけで、残りはすべて予定です。告示までおよそ1年半あり、この期間に候補者と組織を用意できるかが問われます。都内の区長選がどう戦われるかは、「【図解】杉並区長選2026の結果|岸本聡子が圧勝再選・自民推薦敗北の理由」や「【図解】中野区長選2026|酒井直人3選の結果・得票数と投票率」で扱っています。
Q. 杉並区や中野区は対象の11区に入らないのですか。
A. 入りません。杉並区と中野区は2026年に区長選を実施済みで、区長の任期は2030年まであります。区長選は区ごとに任期の起点が違うため、23区が一斉に選挙をするわけではなく、2027年4月に任期満了を迎えるのが今回の11区です。
では、その11区で何を訴えるのか。掲げられている政策の中身を見ていきます。
重点政策は「子ども・教育」と「負担減」
新党が重点に置くと説明しているのは「子ども・教育」と「負担減」の2本柱で、これにITやAIを使ったデジタル行政の推進を重ねる構成です。この組み合わせは、2人の経歴をそのまま政策に置き換えたものだと見ることができます。
泉氏が明石市で実行した「5つの無料化」
政策の原型は、泉氏が明石市長時代に実行した「5つの無料化」です。最大の特徴は所得制限を設けなかった点で、報道によれば、この政策を続けた明石市は市長在任期間中に10年連続の人口増を記録しました。
| 明石市の「5つの無料化」 | 内容 |
|---|---|
| 医療費 | 18歳(高校卒業)まで無料 |
| 保育料 | 第2子以降は無料 |
| おむつ | 1歳になるまで紙おむつを無料で宅配 |
| 給食費 | 中学校の給食費を無料 |
| 遊び場 | 公共施設の親子入場を無料 |
| 共通の設計 | いずれも所得制限なし。中間層まで対象に含めた |
所得制限を外したことで、支援の対象から漏れていた中間層が転入したと泉氏は説明しています。子育て世帯が増えれば地元での消費も増え、税収にも返ってくるという循環を狙った設計です。
ITとAIによるデジタル行政
もう一方の柱が、ひろゆき氏の知見に対応するデジタル行政です。窓口手続きのオンライン化やAIの活用で行政コストを下げ、その分を住民負担の軽減に回すという発想が示されています。ただし2026年7月30日時点では、具体的にどの業務をどう変えるのかという工程は公表されていません。
明石モデルは東京の区で再現できるのか
ここが最大の論点です。明石市は人口約30万人の中核市で、市として独自の税財源と権限を持っています。一方の特別区は、財源の一部を都と分け合う「都区財政調整制度」の下にあり、市町村なら自前で使える固定資産税や市町村民税法人分などが都の側に入る仕組みです。
(編集部分析)無料化の財源をどこから出すのかという問いに、新党は現時点で数字で答えていません。特別区は市とは財政の作りが違うため、明石市の成功例をそのまま持ち込めるとは限らず、区ごとの財政力の差も大きいのが実情です。とはいえ、この点をもって「絵に描いた餅だ」と切り捨てるのは早いと考えます。制度の壁があるならどう変えるのかを示す責任が生じるのであり、それは有権者にとって都区制度そのものを問い直す機会になり得ます。判断材料は、公約が数字と財源を伴って出てきた段階でそろうことになります。
負担を軽くするという方向は、国政でも物価高対策の中心的な争点になっています。減税をめぐる議論の経緯は「食料品の消費税減税はいつから?1%案と2027年4月施行の全工程」で整理しています。
Q. 明石市の「5つの無料化」は、区長になればすぐ実行できるのですか。
A. すぐには実行できません。区長には予算編成権がありますが、予算は区議会の議決を経る必要があり、区議会で多数を持たない区長は単独で通せません。加えて特別区は都区財政調整制度の下にあり、市町村とは使える財源の範囲が異なります。実現の速さは、区長の当選だけでなく議会の構成と財源の裏づけに左右されます。
政策の中身と並んで問われるのが、それを実行する体制です。次に共同代表2人という形と、越えなければならない壁を見ます。
共同代表2人体制の狙いと越えるべき4つのハードル
ひろゆき氏の知名度と発信力に、泉氏の行政経験と選挙実績を組み合わせたのが今回の体制です。役割分担としては合理的ですが、地域政党が11の首長選を同時に戦うには相応の壁があります。
ひろゆき氏は自分では出ない
ひろゆき氏は自身の立候補について「僕は別に出る必要はなくて、僕よりまともな大人はもっといっぱいいる」と述べ、擁立する側に回る立場を明確にしています。ターゲットの広さについても「とりあえず東京都ぐらいから」と説明しており、まず東京に絞る考えです。
党の顔が選挙に出ないという構図は、支持を候補者個人に移し替える作業が必要になることを意味します。看板だけでは票にならないため、11区それぞれで「この人に区政を任せたい」と思わせる候補を立てられるかが実務上の課題になります。
候補者公募という賭け
候補者を公募で選ぶ方式は、しがらみのない人材を集められる一方で、質のばらつきと知名度不足という弱点を抱えます。都内の首長選では、この壁が実際に結果を左右してきました。2026年のあきる野市長選では、自公の推薦・地盤・市政継承という三重の組織票を固めた候補が、発信力で戦った候補を退けています。経緯は「あきる野市長選2026、臼井建氏が20,050票で圧勝初当選」にまとめています。
一方で、組織票が必ず勝つわけでもありません。2026年の杉並区長選では自民推薦候補が敗れており、都市部では無党派層の動きが結果を左右する場面が増えています。新党にとっては、この振れ幅の大きさが勝機でもあり不確実性でもあります。
供託金だけで1,100万円
資金面も具体的な制約になります。特別区長選挙の供託金は候補者1人あたり100万円で、有効投票総数の10分の1に届かなければ没収されます。11区すべてに候補を立てれば、供託金だけで1,100万円が必要です。ここに選挙運動費用が加わるため、擁立規模に見合った資金調達の裏づけが求められます。
ここまでの課題を4つに整理します。
① 候補者の質
公募で11人。行政運営を担える人材をそろえられるか。知名度も一から作る必要がある
② 組織票の壁
現職と既存政党の推薦の枠組み。都内の首長選では組織票が新顔を退けた例が続く
③ 資金
供託金は1人100万円、11区で1,100万円。選挙運動費用は別途必要になる
④ 財源の説明
無料化の原資をどこから出すか。特別区は都区財政調整制度の下にあり市とは事情が違う
4つのうち①②③は選挙までの1年半で埋められる性質のものですが、④は制度に踏み込む話になります。公約の完成度は、この4番目にどう答えるかで見えてきます。
(編集部分析)この新党を国益の物差しでどう見るか
ここからは編集部の見解です。事実の記述とは分けて読んでください。
負担減を正面に置いた点は評価できる
泉氏は「政治は大企業の株価に一喜一憂しているが、物価高で庶民は苦しい」と述べています。(編集部分析)この視点は、国民の可処分所得を政策の中心に置くという意味で評価できます。株価や企業収益の改善が家計の実感に届いていない状況で、負担を軽くする方向を地方から示そうとする姿勢は、緊縮と増税を前提にした議論への対抗軸になり得ます。誰の利益にかなう政策かという問いに対して、少なくとも入口では住民の側に立っていると読めます。
(編集部分析)ただし評価は入口までです。減税や無料化を掲げること自体は難しくありません。問われるのは、財源をどう確保し、区の行政サービスを落とさずに続けられる設計を示せるかどうかです。実績のある泉氏が共同代表に入っている以上、この点は他の新興政党より厳しく見られてよいと考えます。
人口をめぐる発言は事実の確認と切り分けが要る
ひろゆき氏は結党に際し、「日本人は、1年で91万人減りました。日本人の出生数は67万で過去最少。外国人は過去最多。でも、政府は日本人が増える政策をしないままです」と述べ、あわせて「日本経済が縮小して、円安による物価高が起きてます。国家の経済成長は、人口と教育レベルに比例します」と語りました。
(編集部分析)人口減少を経済政策の中心に据える問題設定そのものは、国のかたちを考えるうえで避けられない論点です。少子化対策が長年「異次元」と言われながら結果を出せていないのは事実であり、そこに政策の焦点を戻す主張には意味があります。一方で、日本人人口の減少と在留外国人の増加を並べて語る際は、数字の出典と定義を確認したうえで論じる必要があります。人口動態の統計は集計対象や基準日で数字が変わるため、発言に含まれる数値は今後の公式統計との照合が前提になります。
(編集部分析)外国人政策を扱うのであれば、短期の労働力確保という経済界の都合と、中長期に社会保障・治安・賃金水準が負うコストを分けて論じるべきだと考えます。受け入れの規模と条件を国が自ら制御できる制度設計こそが本題であり、属性を一括して語る議論に流れないことが、この論点を前に進める条件になります。新党がここをどう具体化するかは、地方政党の枠を超える主張である以上、注視する価値があります。
地域政党が国政に届くまでの距離
新党は将来の国政進出も視野に入れると説明しています。ただし国政の場で「政党」として扱われるには、所属する国会議員が5人以上いるか、直近の国政選挙で全国の得票率2%以上を得ることが要件になります。現状で新党に属する国会議員は泉氏1人と見られ、この要件までの距離はまだ大きいのが実情です。
(編集部分析)地方から国政へという道筋は、過去にも試みられてきました。首長ポストを足場に全国政党へ育った例がある一方、知名度の勢いだけで議席を取り、実務で失速した例も少なくありません。分岐点になるのは、当選した首長が実際に条例と予算を動かして成果を出せるかどうかです。1年半後の11区でその第一関門を通過できるかが、この新党の性格を決めることになります。有権者の側としては、看板の話題性ではなく、公募で出てくる候補の中身と財源の数字を見て判断するのが筋だと考えます。
ひろゆき・泉房穂新党のよくある質問
ここまでの内容から外れる周辺の疑問をまとめます。
Q. 新党の正式な党名はいつ決まるのですか。
A. 時期は公表されていません。「ひろゆき&いずみ新党」は仮称で、正式名称は公募で決めると説明されています。2026年7月30日時点で決定時期や公募の要領は明らかになっていません。
Q. ひろゆき氏自身は区長選や国政選挙に出るのですか。
A. 出ないと述べています。自身の立候補については「僕は別に出る必要はなくて、僕よりまともな大人はもっといっぱいいる」と説明し、候補者を擁立する側に回る立場を示しています。
Q. 泉房穂氏はどんな経歴の政治家ですか。
A. 弁護士出身の参議院議員です。1963年生まれで東京大学教育学部を卒業後、NHKを経て1997年に弁護士登録。2003年に衆議院議員に初当選し1期務めたのち、2011年の明石市長選で69票差の初当選から3期12年市長を務めました。2025年7月の参議院選挙で兵庫県選挙区から当選しています。
Q. 2027年の統一地方選挙の投開票日はいつですか。
A. 2026年7月30日時点で確定していません。第21回統一地方選挙は2027年4月に予定されていますが、具体的な日程は今後決まります。対象11区の区長の任期満了日は2027年4月22日または26日です。
候補者の公募要領や公約の詳細が出た段階で、判断材料はさらにそろいます。動きがあれば追って伝えます。
参考情報
- 東京新聞デジタル「ひろゆき氏と泉房穂参院議員が『新党』結成 2027統一地方選挙で都内11区長選などに候補者擁立へ」(2026年7月29日)
- ABEMA TIMES「ひろゆき氏と泉房穂参院議員が新党を設立 2027年統一地方選、東京などがターゲット 自身の出馬は?」(2026年7月29日)
- 東スポWEB「ひろゆき氏 泉房穂氏と新党結党『政府は日本人が増える政策をしないまま』」(2026年7月29日)
- 東京都選挙管理委員会「任期満了日(定数)一覧」
- 参議院「議員情報:泉 房穂」
- 総務省「立候補を目指す方へ」(供託金の額)

