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和歌山市長選2026の結果|尾崎太郎氏が30,215票で初当選、自民が推薦を見送った保守分裂を制す

和歌山市長選2026の結果|尾崎太郎氏が30,215票で初当選、自民が推薦を見送った保守分裂を制す

2026年8月9日、和歌山市長選が投開票され、無所属新人で前和歌山県議会議長の尾崎太郎(おざき・たろう)氏(61)が30,215票を獲得し、初当選を果たしました。2位の片桐章浩(かたぎり・あきひろ)氏(64)は22,998票で、票差は7,217票。現職の尾花正啓市長(73)が3期12年で退任を表明したことを受け、過去最多に並ぶ6人が立候補する混戦となりました。最大の特徴は、自民党籍を持つ尾崎氏と浜田真輔(はまだ・しんすけ)氏(64)の双方が県連に推薦を申請しながら、県連が一本化を断念して自主投票に回った「保守分裂」という構図です。この記事では、確定した6候補の得票数、投票率37.04%が示すもの、政党の相乗りが崩れたときに当選ラインがどこまで下がるのかを、報道と選管の数字に沿って整理します。

この記事でわかること

  • 開票結果:尾崎太郎氏が30,215票(得票率28.5%)で初当選。片桐章浩氏22,998票、浜田真輔氏22,431票と上位3人が僅差で並び、元市長の旅田卓宗氏は14,039票の4位でした。
  • 保守分裂の中身:自民党籍を持つ尾崎氏と浜田氏がともに推薦を申請しましたが、自民党県連は一本化を断念して自主投票を決定。県内に拠点を持つ他の主要政党も自主投票で選挙戦に臨みました。
  • 当選ラインの低下:前回2022年は自民・立憲・公明・国民の推薦を受けた尾花氏が64,721票で3選しています。今回は投票率が5.50ポイント上がったにもかかわらず、当選者の得票は前回の半分以下に下がりました。
目次

和歌山市長選2026の結果は?尾崎太郎氏が30,215票で初当選

無所属新人で前県議の尾崎太郎氏が30,215票を獲得し、初当選しました。2位との差は7,217票です。

この選挙は任期満了に伴うもので、2026年8月2日告示、8月9日投開票の日程で行われました。現職の尾花正啓市長が立候補せず、6人全員が無所属という構図です。まず、選挙管理委員会の確定値に基づく開票結果を一覧で確認します。

6候補の得票数と得票率

上位3人が2万票台で並び、4位以下が1万票台以下に沈む「3強3弱」の分布になりました。有効投票総数は105,964票です。

順位 候補者 年齢・肩書 得票数 得票率
当選 尾崎 太郎 61・前県議(元県議会議長) 30,215票 28.5%
2位 片桐 章浩 64・元県議、元市議 22,998票 21.7%
3位 浜田 真輔 64・元市議 22,431票 21.2%
4位 旅田 卓宗 81・元和歌山市長 14,039票 13.2%
5位 芝本 和己 58・元市議(元市議会議長) 9,145票 8.6%
6位 幸前 青空 25・映像制作会社役員 7,136票 6.7%

上位3人の得票は30,215票・22,998票・22,431票で、2位と3位の差はわずか567票でした。1位と3位の差も7,784票にとどまり、票が3方向にほぼ均等に割れた選挙だったことが数字に表れています。

投票率は37.04%で前回を5.50ポイント上回った

投票率は37.04%でした。前回2022年の31.54%を5.50ポイント上回っています。当日有権者数は293,770人です。

現職が退き、候補者が過去最多に並ぶ6人となったことで関心が高まったとみられます。ただし37.04%という水準は、有権者のおよそ6割が投票所に足を運ばなかったことも同時に意味します。次の見出しで触れるとおり、この「投票率は上がったのに当選者の得票は減った」という一見矛盾する現象が、今回の選挙を読み解く鍵になります。

なぜ「保守分裂」になったのか?自民党県連が推薦の一本化を断念した

自民党籍を持つ尾崎氏と浜田氏の双方が推薦を申請し、県連が一本化できずに自主投票としたためです。

共同通信によれば、県連はいずれの候補にも推薦を出さず自主投票としました。読売新聞オンラインも、尾崎氏と前市議の浜田氏がともに県連へ推薦願を提出したものの、県連が一本化を断念して保守分裂となり、県内に拠点を持つ他の主要政党も自主投票の方針で選挙戦を迎えたと報じています。つまり今回の和歌山市長選は、6人全員が無所属というだけでなく、政党の推薦が1本も出ない選挙でした。

前回2022年は自民・立憲・公明・国民の「相乗り」だった

前回2022年は現職の尾花正啓氏が自民・立憲・公明・国民の推薦を受け、64,721票で3選しました。得票率は68.5%です。

与野党の主要政党がそろって同じ現職を推す「相乗り」は、地方選挙では珍しくない形です。しかし推薦が集中すれば選択肢は事実上狭まり、投票率は31.54%まで下がっていました。今回はその現職が退き、相乗りの受け皿そのものが消えたことで、構図が一変しています。

2022年(前回)|相乗り

自民・立憲・公明・国民が現職を推薦

当選者の得票:64,721票(68.5%)

投票率:31.54%

2026年(今回)|推薦ゼロ

自民党県連は一本化を断念し自主投票

当選者の得票:30,215票(28.5%)

投票率:37.04%

推薦が1本もない状態で票が6人に割れた結果、当選ラインは3割を切りました。この構造は、自民党の推薦を受けた候補が敗れた他の市長選とも通じるところがあります。埼玉県では「東松山市長選2026の結果|松坂喜浩氏が初当選・自民推薦の中島氏を破る」でも同様の構図が生じ、山形県でも「尾花沢市長選2026の結果|34歳・若林吾朗氏が5,060票で初当選、自民推薦の現職を1,996票差で退けた背景」で自民推薦の現職が敗れています。推薦の有無が結果を保証しなくなっている点は共通しています。

Q. 保守分裂なのに、なぜ自民党籍のある候補が勝てたのですか。

A. 分裂しても、組織を持つ側が有利だったためとみられます。読売新聞オンラインは、尾崎氏が県議時代に培った人脈を生かして企業や団体から支持を集め、複数の自民県議からも支援を受けて選挙戦を有利に進めたとみられると報じています。共同通信も、尾崎氏が地元企業の支援を受けて支持を広げたと伝えています。

推薦が出なくても組織が動けば票は積み上がる。その一方で、同じ支持基盤を割った側は伸び悩みます。次に、票が割れることで当選ラインがどこまで下がったのかを数字で確認します。

票が割れると当選ラインはどこまで下がるのか

前回の当選者は64,721票、今回は30,215票です。投票率は上がったのに、当選ラインは半分以下に下がりました。

投票率が31.54%から37.04%へ上がったということは、投票所に足を運んだ人の数そのものは増えています。それにもかかわらず当選者の得票が半減したのは、増えた票を含めた全体が6人に分散したためです。数字で並べると、この落差がはっきりします。

項目 2022年(前回) 2026年(今回)
候補者数 6人
政党の推薦 自民・立憲・公明・国民 なし(自主投票)
投票率 31.54% 37.04%
当選者の得票 64,721票 30,215票
当選者の得票率 68.5% 28.5%

当選者の得票を当日有権者数293,770人と比べると、尾崎氏の30,215票は有権者全体のおよそ10.3%にあたります。有権者10人のうち1人の投票で市長が決まった計算です。

有権者29万人から、当選者の3万票まで

当日有権者数 293,770人
投票率37.04%
有効投票 105,964票
当選者 30,215票

(編集部分析)相乗りが崩れて選択肢が6つに増えたこと自体は、有権者にとって前進と評価できます。投票率が5.50ポイント上がったのは、選ぶ余地が生まれた効果とみるのが自然です。他方で、政党が候補者を絞り込む過程が有権者の目の届かないところで進み、絞り込みに失敗した結果として分裂が生じたという順序は見過ごせません。誰を市政の担い手として立てるかという判断が、党内の調整の産物として現れる構造は残ったままです。有権者の1割の支持で市政のかじ取りが決まる状態を「低投票率だから仕方ない」で済ませず、候補者の擁立過程をどこまで開くかという論点として引き継ぐべきだと考えます。

投票前の6候補の顔ぶれと争点の整理はこちらにまとめています。
→ 和歌山市長選2026の候補者6人と争点|保守分裂と8月9日投開票

尾崎太郎氏はどんな人物か|父も元市長の親子2代当選

和歌山市議1期と県議6期を務めた61歳で、父の吉弘氏も1995〜98年に和歌山市長を務めました。親子2代の市長就任となります。

尾崎氏は和歌山市出身、学習院大学卒。証券会社勤務を経て和歌山市議を1期務め、2003年の県議選で初当選しました。県議6期目の途中にあたる2026年7月に市長選への立候補を正式表明しています。県議会議長も経験しました。

公約は地場産業への投資と内川の清流化

地域産業の振興による雇用増、公共交通を補う移動手段の整備、ホテル誘致と地場産業への投資、そして内川の清流化を掲げました。

共同通信は尾崎氏がホテル誘致や地場産業への投資を主張したと伝え、読売新聞オンラインは地域産業の振興、魅力ある水辺づくり、公共交通を補完する移動手段の整備を訴えたと報じています。毎日新聞によれば、市内を流れる内川を清流に変えるという公約について、尾崎氏は親子二代で取り組んできたものだと述べていました。当選後は「市長一人だけの力では笑顔あふれる市に変えていくことはできない。市役所職員と一体となって働く体制をつくり、全身全霊で取り組んでいく」と抱負を語っています(わかやま新報)。

31年前の市長選にも浜田氏は立候補していた

1995年12月の和歌山市長選は尾崎氏の父・吉弘氏が制しており、この選挙には今回3位となった浜田真輔氏も立候補していました。

読売新聞オンラインは、浜田氏の市長選出馬が1995年、2014年に続いて3回目であると報じています。1995年12月の市長選で当選したのが尾崎吉弘氏で、以後1998年まで第22代和歌山市長を務めました。吉弘氏は2024年4月に死去しています。31年を挟んで、父が戦った相手と息子が同じ市長の座を争い、再び尾崎家が制したことになります。なお今回4位となった旅田卓宗氏は、吉弘氏の前後に和歌山市長を務めた人物で、通算4期の在任歴があります。

Q. 尾崎太郎氏の任期はいつからいつまでですか。

A. 4年間です。今回の選挙は現職の任期満了に伴うもので、地方自治法上、市長の任期は4年と定められています。尾崎氏の就任日は市の公表を待つ必要がありますが、前任の尾花正啓市長の任期満了に合わせた形になります。

親子2代という経歴は話題性を持つ一方、市政の実務がそれで進むわけではありません。敗れた5氏が何を訴えていたのかを確認しておくことは、新市長が向き合う論点を把握するうえでも役に立ちます。

敗れた5氏は何を訴えたのか

片桐氏は尾花市政の継承、浜田氏は安定した市政、芝本氏は福祉、旅田氏は人口50万人都市、幸前氏は若者の活躍です。

わかやま新報が伝えた告示日の第一声から、各候補の主張を整理します。

  • 片桐章浩氏(64・22,998票):具体的な政策で尾花市政をしっかり継承すると訴え、予約型のタクシーバス導入、企業誘致による雇用と人口の増加を掲げました。元県議で元市議です。
  • 浜田真輔氏(64・22,431票):空き家対策、耕作放棄地の解消、教育、福祉にバランスよく目を配ると訴え、心を大事にした安定した市政を掲げました。共同通信は、和歌山城を中心とした観光事業などを訴えたが保守分裂のあおりで支持をまとめ切れなかったと報じています。
  • 旅田卓宗氏(81・14,039票):人口50万人都市の実現、産業誘致、ミニバス運行を掲げました。元和歌山市長で、通算4期を務めた後に収賄と背任の罪に問われ、実刑判決を受けて服役し2013年に出所しています。
  • 芝本和己氏(58・9,145票):政治の志は福祉が原点だとして、障害のある子どもと親が安心できる福祉、地震対策の強化を訴えました。元市議会議長です。
  • 幸前青空氏(25・7,136票):若者の活躍とクリーンな市政を第一に掲げ、市民が主役の市政、若い世代に向けた都市づくりを訴えました。映像制作会社の役員で、6人のうち最年少です。

5氏の主張を並べると、企業誘致と雇用、公共交通の補完、福祉という3つのテーマが繰り返し登場していることがわかります。これらは新市長が引き継ぐ課題そのものです。

新市長が引き受ける課題は何か

人口減少と中心市街地の空洞化です。6候補が共通して雇用創出と交通の確保を訴えたことが、課題の所在を示しています。

読売新聞オンラインは、今回の選挙戦で中心市街地の活性化、観光や産業の振興策、子育て支援をめぐって論戦が繰り広げられたと報じています。当日有権者数293,770人という規模の中核市で、有権者の1割の得票で就任する市長が、支持を広げながら政策を進められるかどうかが問われます。

(編集部分析)尾崎氏が掲げた「地場産業への投資」と「地域産業の振興による雇用増」は、外から資本を呼び込む発想ではなく、すでに地域にある企業と産業を厚くする方向に軸足を置いた公約と評価できます。人口減少に直面する地方都市が、外部資本の誘致だけに依存すれば、撤退のたびに雇用と税収を失う脆さを抱えます。地元企業の支援を受けて当選した経緯を踏まえれば、地場産業への投資が特定の支援企業への配分に偏らないよう、投資先と判断の根拠を市民に開くことが問われます。誰が得をする投資なのかを説明できる形にすることが、公約の実効性を担保する条件になると考えます。

和歌山市長選2026のよくある質問

開票結果の周辺でよく調べられている点を、確認できる範囲でまとめます。

Q. なぜ現職の尾花正啓市長は立候補しなかったのですか。

A. 3期12年を務めたうえで退任を表明したためです。尾花氏は2014年に初当選し、前回2022年8月の市長選で自民・立憲・公明・国民の推薦を受けて64,721票を獲得し3選していました。今回は立候補せず、選挙は現職不在の新人中心の構図となりました。

Q. 6人という候補者数は和歌山市長選で最多ですか。

A. 過去最多に並ぶ人数です。読売新聞オンラインは、現職が立候補せず「過去最多に並ぶ6人が出馬」したと報じています。無所属6人による争いで、政党の推薦を受けた候補は1人もいませんでした。

Q. 同じ日に和歌山市議会議員の補欠選挙も行われましたか。

A. 行われました。WBS和歌山放送ニュースは、8月9日に和歌山市長選と市議補選の投票が始まったと報じています。市長選と同日実施のため、投票所も同じです。市議補選の確定結果は市選挙管理委員会の発表をご確認ください。

開票結果の細部や投票区ごとの数字は、和歌山市選挙管理委員会の公表資料が一次情報になります。以下に本文で参照した報道と資料を挙げます。

参考情報

  • 共同通信「和歌山市長に元県議尾崎氏初当選 保守分裂制し5候補破る」(2026年8月10日)
  • 時事通信「和歌山市長に尾崎氏初当選=元新5人破る」(2026年8月9日)
  • 読売新聞オンライン「保守分裂の和歌山市長選、前県議の尾崎太郎さんが初当選…自民党県連は一本化を断念・ほかの主要政党も自主投票の方針での選挙戦」(2026年8月9日)
  • 読売新聞オンライン「和歌山市長選【当選確実の一報】後に姿見せた尾崎太郎さん『全身全力で』…計5人を破って初当選」(2026年8月10日)
  • 読売新聞オンライン「和歌山市長選に市議の浜田真輔氏が出馬の意向…1995、2014年にも立候補」
  • 読売テレビ「『たくさんの笑顔で和歌山市を元気に』 和歌山市長選 新人・尾崎太郎氏が初当選」(2026年8月10日)
  • 毎日新聞「和歌山市長選、元県議の尾崎太郎氏が初当選 元職の旅田氏敗れる」(2026年8月9日)
  • わかやま新報「尾﨑さん初当選 和歌山市長選、6人の混戦制す」(2026年8月9日)
  • わかやま新報「和歌山市長選 元新6候補の舌戦火ぶた」(2026年8月3日)
  • NHKニュース「和歌山市長選 投票率は37.04%」(2026年8月9日)
  • WBS和歌山放送ニュース「【選挙】和歌山市長選・市議補選投票始まる」(2026年8月9日)
  • 選挙ドットコム「和歌山市長選挙(2026年8月9日投票)」開票結果・投票率・当日有権者数
  • 選挙ドットコム「和歌山市長選挙(2022年8月21日投票)」開票結果・投票率

この記事を書いた人:あいすべ(監修・編集統括)

健診・治験の現場で10年以上、臨床データの精査に従事。地方公務員として公立病院に勤務し、経営推進課の責任者を経てマーケターに転身。データ検証と実践哲学(葉隠)の両面から、情報のバイアスを見抜く視点で「大和帰郷」を運営しています。資格・経歴は実在し、求めに応じて証憑を提示できます。。

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