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【図解】国旗損壊罪が衆院委で可決|罰則・対象外・反対理由まとめ

国旗損壊罪が衆院委可決、懲役2年もアニメが対象外の訳

日本の国旗を損壊する行為を罰する「国旗損壊罪」の新設法案が、2026年6月26日、衆議院内閣委員会で賛成多数により可決されました。罰則は2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金。今国会での成立が確実視される一方、「表現の自由」との関係が国会審議の最大の論点となっています。本記事では、可決までの経緯、罰則の中身、そして「何が対象外になるのか」までを整理します。

この記事でわかること

  • 可決の事実: 2026年6月26日、衆院内閣委で自民・維新・国民民主・参政・チームみらいの賛成多数により可決され、今国会で成立する公算が大きい。
  • 罰則と対象外: 罰則は2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金。報道・リポストやアニメ等の創作物は対象外で、適用範囲は限定されている。
  • 対立の構図: 賛成派は「外国国旗だけを守る非対称の是正」を、反対派は「表現の自由の侵害」を論点に掲げ、世論は割れている。
目次

国旗損壊罪法案が衆院内閣委で可決された経緯

国旗損壊罪法案は、2026年6月26日に衆議院内閣委員会で採決が行われ、自民・維新の両党に国民民主党、参政党、チームみらいなどが加わった賛成多数で可決されました。

法案がここまで進んだ経緯を時系列で見ると、与党側の周到な準備が浮かび上がります。法案はまず2026年6月16日、自民党・日本維新の会・国民民主党・参政党の4党によって衆議院に共同提出されました。提出会派に国民民主・参政が加わったことで、与党が過半数を持たない参議院でも賛成多数を得るめどが立ち、今国会での成立公算が大きくなりました。その後、6月25日に内閣委員会で審議入り・参考人質疑が行われ、翌26日の委員会可決へと至っています。

この法案が刑法改正ではなく「議員立法による新法」という形をとった点には、戦略的な意図が指摘されています。政治アナリストの大濱崎卓真氏は、新法が選ばれたのは、野党が委員長を務める法務委員会ではなく、別の委員会で審議させるためだと指摘しています。実際、法案は内閣委員会に付託されました。手続きの設計段階から、円滑な可決を見据えた組み立てがなされていたといえます。

今後は衆議院本会議での可決を経て、参議院での審議・採決に進みます。施行時期について、法案には具体的な期日が定められていますが、本会議・参院審議が残っているため、最終的な成立・施行の時期は国会日程次第です。なお、野党5党は衆院の審議や日程協議に応じない方針を確認しており、国会運営は緊迫した状況が続いています。

法案がどのような段階を踏むのか、可決から成立までの全体像を図で整理します。

6/16 提出 自維国参4党 6/26 委員会 可決(済) 衆院本会議 採決 参議院 審議・採決 成立 今国会見込み ▲ いまここ

この図のとおり、6月26日の委員会可決は「成立まであと2段階」の地点にあたります。骨子段階からの経緯をより詳しく知りたい方は、以下の解説もあわせてご覧ください。

国旗損壊罪の骨子がどのように固まってきたかは「【図解】国旗損壊罪とは何か|自民党が骨子了承・罰則・対象外まとめ」で詳しく解説しています。

Q. 国旗損壊罪はいつから施行されますか?

A. 施行時期はまだ確定していません。2026年6月26日の段階では衆院内閣委で可決されたばかりで、衆院本会議・参議院での審議と採決が残っています。今国会での成立が見込まれていますが、最終的な施行日は国会の議決と日程によって決まります。

国旗損壊罪の罰則内容と「対象外」になるもの

国旗損壊罪の罰則は、外国の国旗を傷つける「外国国章損壊罪」と同じく、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金とされています。

ここで重要なのは、この法律が「何を罰し、何を罰しないのか」という線引きです。自民党の法案説明によると、罰則の対象となるのは、国旗を「人に著しく不快または嫌悪の情を催させるような方法・状態」で「自ら公然と損壊、除去または汚損する行為」です。適用にあたって、侮辱を加える目的があったかどうかといった個人の内心は詮索せず、外形的・客観的に判断するとされています。

一方で、対象外となる行為も明確に定められています。お子さまランチの旗や絵画の一部として描かれた旗、アニメ・マンガ・ゲーム・生成AIによる創作物は対象になりません。また、国旗を損壊する様子を報道したり、その動画をリポストしたりする行為も対象外です。ただし、自ら損壊している状況をライブ配信する行為は処罰対象になります。

処罰される行為と対象外の行為を、具体的に対比して整理します。

行為判定理由
公然と国旗を損壊・汚損し、その様子をライブ配信処罰対象不特定多数が認識でき、著しく不快な方法にあたるため
アニメ・マンガ・生成AIの創作物に描かれた国旗対象外国旗の用に供する有体物にあたらないため
損壊の様子を報道する・その動画をリポストする対象外自ら損壊する行為ではなく、報道・伝達にあたるため
お子さまランチの旗・絵画の一部の旗対象外社会通念上、国旗の用に供する物と認識されないため

このように、法案は処罰範囲を「自ら・公然と・著しく不快な方法で」損壊する行為に絞り込んでいます。もっとも、「著しく不快または嫌悪の情を催させる方法」という要件をどう解釈するかは、施行後の運用に委ねられる部分が大きく、線引きの難しさが残ります。

Q. 国旗損壊罪の罰則はどのような内容ですか?

A. 2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金です。これは外国の国旗を傷つける「外国国章損壊罪」と同じ水準です。国旗を人に著しく不快または嫌悪の情を催させる方法で、自ら公然と損壊・除去・汚損した場合に適用されます。

Q. アニメや報道で国旗を破る描写も罰せられますか?

A. 罰せられません。アニメ・マンガ・ゲーム・生成AIによる創作物は対象外と明記されています。また、国旗を損壊する様子を報道したり、その動画をリポストしたりする行為も対象外です。処罰されるのは、自ら公然と損壊し、ライブ配信するような行為に限定されます。

なぜ国旗損壊罪が「表現の自由」と衝突するのか

国会審議の最大の論点は、この法律が憲法の保障する表現の自由と衝突しないかという点です。

反対する法学者は、内心の自由の侵害を問題視しています。刑法学者の松宮孝明氏は、表現という内心の発露を罰する以上、内心の自由を侵害することは明らかであり、外形的に判断するから内心の自由に反しないということにはならない、と批判しています。同じく刑法学者の江藤隆之氏も、「意図や目的」を処罰要件から外したとしても、表現の自由の問題は回避できないと指摘しています。

こうした議論の背景には、しばしばアメリカの判例が引かれます。アメリカでは1989年のテキサス州対ジョンソン事件で、国旗の損壊や侮辱を禁じる州法が連邦最高裁によって違憲とされました。この判決には、保守派とされた判事も違憲の判断に加わっています。国民民主党の玉木雄一郎代表も2026年3月、この判例を引用し、思うことを信じて発信する権利は憲法上もっとも優越的に保護されており、日本での議論も慎重さが必要だとの見方を示していました。

ただし、この「アメリカの判例があるから日本でも違憲だ」という論法には、注意が必要です(編集部分析)。アメリカと日本では憲法の条文も判例の蓄積も異なり、ドイツ・フランス・イタリアのように自国国旗の損壊に罰則を設けている国も現に存在します。一つの国の最高裁判例を、そのまま日本国憲法の解釈に当てはめられるわけではありません。表現の自由は当然に尊重されるべき価値ですが、それは「いかなる規制も一切認められない」という意味ではなく、国旗をめぐる規律が直ちに違憲になると断定するのも、また一面的な見方だといえます。

賛成派と反対派の主張を整理する

国旗損壊罪をめぐっては、賛成・反対の双方がそれぞれ明確な論点を掲げています。世論も盛り上がりを見せており、賛否が分かれています。

賛成派の中心にあるのは「公平性」の論点です。外国の国旗は外国国章損壊罪によって罰則付きで守られているのに、自国である日本の国旗には同等の保護がない。この非対称こそが問題だ、という主張です。一方の反対派は「立法事実がない」ことを最大の根拠とします。実際に日の丸が焼かれて社会問題化している状況にはないのだから、過度な規制を新設すべきではない、という立場です。

両者の主な論点を対比して整理します。

論点賛成派反対派
守るべき価値国旗を大切に思う国民感情の保護表現の自由・内心の自由の保護
外国国章損壊罪との関係外国旗を守り自国旗を守らないのは不公平保護法益が異なり同列に論じられない
立法の必要性自国の象徴を守る法整備は当然社会問題化しておらず立法事実がない

反対派の論客には、弁護士団体や憲法学者が名を連ねます。日本弁護士連合会は2012年の法案提出時に表現の自由を侵害する恐れがあるとして反対声明を出しており、2026年には札幌・広島の各弁護士会も反対声明を発表しました。憲法学者の小林節氏は、「日の丸は好きだが、日の丸損壊罪の新設には反対する」と述べています。自民党内でも、岩屋毅前外相が「現在、日の丸が破られたり燃やされたりして社会問題化している状況にはない」として、立法の必要性に慎重な見方を示していました。

ただ、反対派が掲げる「立法事実がない」という論点には、賛成派からの有力な反論があります(編集部分析)。「実害が起きていないから法律は不要」という理屈は、裏を返せば「外国の国旗は実害が想定されるから守るが、自国の国旗は実害が少ないから守らなくてよい」という、自国を一段低く扱う発想につながりかねません。守るべきは「日の丸が焼かれた件数」ではなく、自国の象徴を尊重するという社会の規範そのものです。外国旗を罰則で守りながら自国旗を放置してきた非対称こそ、是正されるべき論点だと考えます。

各党がどのような立場をとっているかは、党首間の論戦からも読み取れます。関連する論点として「神谷代表が帰化歴の公開要求・高市首相は否定的|2026年党首討論の論点を解説」もあわせてご覧ください。

高市政権が国旗損壊罪を進める背景

国旗損壊罪の構想は、今回が初めてではありません。その実現を政権の枠組みで本格的に押し進めたのが、高市政権です。

この罪をめぐる議論は四半世紀にわたり繰り返されてきました。1999年の国旗国歌法の制定時にも侮辱罪を創設する案が浮上しましたが、当時の小渕恵三首相が見送りを答弁しています。2012年には自民党が刑法改正案を了承しましたが、成立には至りませんでした。つまり「国旗を法で守る」というテーマは、長年浮上しては立ち消えてきた、保守層にとっての宿題でした。

今回が過去と決定的に異なるのは、制定が政権の公約として明確に位置づけられた点です。2025年10月、自民党と日本維新の会は連立政権合意書に「国旗損壊罪」の制定を明記しました。報道によれば、これを合意書に盛り込んだのは高市首相の意向によるものとされ、法案は「高市首相の宿願」と評されています。

長年の懸案を、政権の旗印としてついに成立目前まで持ち込んだ。この実行力は率直に評価できると考えます(編集部分析)。これまで国旗損壊罪が実現しなかった一因は、自民党内にも慎重論・反対論が根強く存在したことにありました。前述の岩屋前外相のように、党内からも立法の必要性に疑問を呈する声が上がる状況が長く続いてきたのです。そうした党内の異論を一つの方向にまとめ上げ、連立合意という形で公約に組み込んだことは、政権としての意思決定力の表れといえます。

そして、その背景には時代認識の変化があります(編集部分析)。日本人は古くから、他者に気を遣い、周囲と調和することを美徳としてきました。外交においても「まず相手と仲良く」という姿勢が基本にあります。それ自体は世界に誇るべき素晴らしい心です。しかし、周囲を尊重する心と、自国を毅然と守る姿勢は、本来両立するものです。他国の国旗には敬意を払って罰則で守りながら、自国の象徴だけは無防備なまま放置してきた——これまでの日本は、調和を重んじるあまり、自らを守ることに及び腰だったのではないでしょうか。他者を尊重する心を保ちつつ、自国もしっかりと守っていく。国旗損壊罪をめぐる議論は、日本がそうした新しいステージに入りつつあることを映し出しているように見えます。

国旗損壊罪のよくある質問

ここまで取り上げきれなかった、検索で多く寄せられる疑問について補足します。

Q. なぜ今、国旗損壊罪が作られるのですか?

A. 2025年10月の自民党と日本維新の会の連立政権合意書に制定が明記されたことが直接の契機です。国旗損壊罪の構想自体は1999年や2012年にも浮上していましたが、今回は政権の公約として位置づけられ、提出会派に国民民主・参政が加わったことで成立の道筋が整いました。

Q. 外国国章損壊罪とは何が違うのですか?

A. 外国国章損壊罪(刑法92条)は外国の国旗を傷つける行為を罰する既存の罪で、罰則は今回の国旗損壊罪と同じ2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金です。賛成派は「外国旗は守られるのに自国旗は守られない非対称が問題だ」と主張し、反対派は「両者は保護法益が異なる」として同列に扱うことに異議を唱えています。

Q. 国旗損壊罪に反対しているのは誰ですか?

A. 主に弁護士団体と一部の法学者です。日本弁護士連合会は2012年に反対声明を出し、2026年には札幌・広島の弁護士会も反対声明を発表しました。憲法学者の小林節氏や刑法学者の松宮孝明氏・江藤隆之氏も慎重・反対の立場で、自民党内でも岩屋毅前外相が立法の必要性に慎重な見方を示していました。

これらの論点は、今後の参議院審議でも繰り返し問われることになります。法案の最新の動向は、一次情報をあわせて確認することをおすすめします。

参考情報

  • 自由民主党「国旗損壊罪を新設 法案を了承」 https://www.jimin.jp/news/information/213369.html
  • 時事通信「『国旗損壊罪』今国会成立の公算 事後投稿除外、自維国参が提出」 https://www.jiji.com/jc/article?k=2026061600466&g=pol
  • NHK「衆院内閣委『国旗損壊罪』法案 賛成多数で可決」

この記事を書いた人:あいすべ(監修・編集統括)

健診・治験の現場で10年以上、臨床データの精査に従事。地方公務員として公立病院に勤務し、経営推進課の責任者を経てマーケターに転身。データ検証と実践哲学(葉隠)の両面から、情報のバイアスを見抜く視点で「大和帰郷」を運営しています。資格・経歴は実在し、求めに応じて証憑を提示できます。。

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