MENU

【7/22】国民投票法改正案が参院憲法審で可決|24日成立へ 3つの柱と「改憲の地ならし」論を解説

【7/22】国民投票法改正案が参院憲法審で可決|24日成立へ 3つの柱と「改憲の地ならし」論を解説

国民投票法改正案が2026年7月22日、参議院の憲法審査会で賛成多数により可決されました。共産党とれいわ新選組を除く与野党が賛成し、7月24日の参議院本会議で可決・成立する見通しです。ただ、名前は大きく聞こえても、改正の中身は離島での開票手続きや放送方式の追加といった、かなり実務的な整備が柱です。本記事では、正式名称「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」で何が決まったのか、3つの柱と会派ごとの賛否、そして先送りされたネット広告規制の論点までを、公的な報道をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 何が決まったか: 参院憲法審が7月22日に改正案を可決し、24日の本会議で成立する見通しであること
  • 改正3つの柱: 離島の開票立会人規定の整備・投票立会人要件の緩和・広報放送へのFM追加という、公職選挙法に歩調を合わせた実務的な整備であること
  • 残された宿題: 最大の争点だったネット・AI時代の広告規制は本体に盛り込まれず、附帯決議での「先送り」となったこと
目次

参院憲法審で可決・24日成立へ|何が決まったのか

まず事実関係を押さえます。国民投票法改正案は、すでに衆議院を通過しており、2026年7月22日に参議院憲法審査会で賛成多数で可決されました。残るは7月24日に予定される参議院本会議での採決で、ここで可決されれば成立します。

「国民投票法」とは、憲法改正の是非を国民に問う国民投票の、手続きを定めた法律です。憲法96条は、憲法を改正するには国会が発議したうえで国民投票にかけ、過半数の賛成を得ることを求めています。その「どうやって投票するか」の具体的なルールを定めているのが国民投票法であり、今回はその一部を実務に合わせて手直しするものです。憲法の中身そのものを変える法案ではない、という点が出発点になります。

衆院通過 (可決済み) 7月22日 参院憲法審で可決 7月24日 本会議で成立見込み

改正案は自民党・日本維新の会・国民民主党・参政党の共同提出によるものです。憲法改正に前向きな会派が足並みをそろえて出したという点は、後述する「今後の見通し」を読むうえでも重要なシグナルになります。

改正3つの柱|公職選挙法と歩調を合わせる実務的整備

今回の改正の柱は3つです。いずれも、通常の選挙を規定する公職選挙法との整合をとる、あるいは投票環境を現状に合わせるという、実務寄りの内容です。まず全体像を表で整理します。

項目 これまで 改正後
離島の開票立会人 悪天候で投票箱を運べない場合の現地開票の規定が不十分 現地に開票所を設ける際の立会人選任規定を整備
投票立会人の要件 選任できる対象が限定的でなり手を確保しにくい 公職選挙法にそろえ、投票権を持つ人から幅広く選任可能に
広報放送 憲法改正案の広報放送はAM放送に限定 FM放送を追加

離島の開票立会人選任の合理化

1つ目は、離島で悪天候などにより投票箱を本土の開票所まで運べない事態に備えるものです。この場合、島の現地に開票所を設けて開票することになりますが、その際に立ち会う「開票立会人」を誰がどう選ぶのか、というルートを整備します。天候という不確定要素で投票結果の確定が滞らないようにする、災害列島・島嶼国家である日本ならではの現実的な手当てと言えます。

投票立会人の要件緩和(なり手不足対応)

2つ目は、投票所で不正がないかを見届ける「投票立会人」の選任要件を、公職選挙法の規定にそろえて緩和するものです。これまでより幅広い人から選べるようになり、地方や離島で立会人のなり手が足りないという現実に対応します。人口減少と高齢化のなかで選挙・投票の運営を担う人手をどう確保するかは、通常の選挙と共通する課題です。

広報放送へのFM追加

3つ目は、憲法改正案を国民に知らせる「広報放送」に、これまでのAM放送に加えてFM放送を追加するものです。ラジオのリスニング環境がFMやワイドFMへ移ってきた現状に、制度を合わせる形です。

(編集部分析)3つの柱を並べて見えてくるのは、これらが政治的な色の薄い、極めて事務的・合理的な整備だということです。離島の開票、なり手不足、放送方式のいずれも、投票の公正さと利便性を保つための当然の更新の範囲にとどまります。名称の重々しさと中身の実務性のギャップは、この法案を冷静に評価するうえで押さえておきたい点です。

賛成・反対の構図|「環境整備」に反対した共産・れいわ

採決では、共産党とれいわ新選組を除く与野党が賛成しました。憲法改正に前向きな会派だけでなく、これまで慎重とされてきた立憲民主党も賛成に回った点が、今回の構図の特徴です。会派ごとの立場を整理します。

立場 主な会派 主張の要旨
提出・賛成 自民・維新・国民民主・参政 公選法にそろえた実務的整備であり投票環境の向上に資する
賛成 立憲民主 ほか 手続き整備自体には反対しない(広告規制は附帯決議で担保)
反対 共産・れいわ CM・ネット広告や資金の規制を欠いたまま手続きだけ進めるのは改憲発議への地ならし

自・維・国・参の共同提出が示す「改憲勢力」の連携

提出者が自民・維新・国民民主・参政の4会派だった意味は小さくありません。憲法改正の発議には衆参両院それぞれで総議員の3分の2以上の賛成が必要で、一つの党だけでは到底届きません。改正に前向きな会派が、実務的な手続き法の段階から共同で法案を出せる関係にあること自体が、今後の改憲論議に向けた素地が整いつつあることを示しています。

合理的な改正にも「地ならし」と警戒する反対派の論理

一方、反対した共産・れいわは、改正の中身そのものよりも「順序」を問題にしています。CM規制・ネット広告規制・運動資金の規制といった、国民投票の公平性を左右する根本的なルールが欠けたまま、手続きの整備だけを先に進めるのは、改憲発議のハードルを下げる準備にほかならない、という論理です。

(編集部分析)ここに、今回の争点の本質があります。離島の開票やなり手不足への対応という、選挙実務として反対しにくい合理的な整備に対してすら「改憲の地ならし」というイデオロギーの枠組みを持ち込んで反対する姿勢は、憲法論議そのものを入り口で止めようとするものと評価できます。憲法改正の是非は最終的に国民投票で主権者が決めるべき事柄であり、その手続きを実務に即して整えること自体を封じる理由にはなりません。もちろん、後述する広告規制のように、公平性の担保として詰めるべき宿題が残っているのは事実です。手続き整備は進めつつ、その宿題からも逃げない――その両方を求めるのが筋であり、整備そのものを人質にとる議論とは分けて考える必要があります。

争点「ネット広告規制」はなぜ今回も見送られたのか

今回の改正で本体に盛り込まれなかった最大の論点が、テレビCMやインターネット・SNS上の広告に対する規制です。資金力のある側が広告を大量に打てば、国民投票の賛否誘導に不公平が生じかねない、という懸念は以前から指摘されてきました。

① 論点
ネット・AIの発達で広告が投票行動に与える影響が拡大。CM・ネット広告・資金の規制が課題に
② 今回の扱い
規制は改正案の本体に盛り込まず。7項目の附帯決議で「法改正を含む必要な措置を講じる」と明記
③ 残る課題
附帯決議に法的拘束力はなく、2021年改正時から続く「宿題」が今回も先送りに

附帯決議7項目の位置づけと法的拘束力

今回、広告規制は本体に入らず、7項目からなる附帯決議で「インターネットやAIの急速な発展に対応し、法改正を含む必要な措置を講じる」とされました。ただし、附帯決議は国会としての要望・方針の表明であり、それ自体に法的な拘束力はありません。実際、この広告規制の課題は2021年の国民投票法改正のときにも同様の宿題として残されており、そこから数年、実質的な結論は先送りされ続けてきた経緯があります。

表現の自由とのジレンマと論議引き延ばしの懸念

もっとも、広告規制が進まない背景には、単なる怠慢とは言い切れない事情もあります。広告や運動を法律で制限することは、憲法が保障する表現の自由や政治活動の自由との緊張をはらむため、線引きが技術的にも難しいという本質的な問題です。(編集部分析)とはいえ、難しさを理由に結論を出さないまま宿題を積み残し続ければ、「規制が固まらないから発議もできない」という形で、改憲論議そのものを止めるカードとして使われかねません。公平性の確保と、論議の引き延ばしを分けて考え、表現の自由と両立する現実的なルールづくりを、期限を区切って前に進める責任が国会にはあります。

今後の見通し|改憲発議に向けたロードマップ

今回の改正は、それ自体が憲法を変えるものではありません。位置づけとしては、将来国民投票が実施される場面に備えて、投票の器を実務的に整えるものです。7月24日に成立すれば、国民投票の手続き面のアップデートが一つ進むことになります。

その先にあるのが、憲法本体の改正論議です。改正には衆参両院での3分の2以上の賛成による発議と、国民投票での過半数の賛成という高いハードルがあります。今回、改正に前向きな会派が共同で手続き法をまとめられたことは、その論議を進めるための足場が整いつつあることを意味します。同時に、宿題として残るネット広告規制をどう決着させるかが、国民投票を公正なものにできるかの試金石として残ります。(編集部分析)憲法を国民の手で選び直せる状態を実務・制度の両面から整えることは、主権者である国民の選択肢を広げる方向に働きます。手続きの整備と公平性の担保を車の両輪として進めていけるかが、今後問われます。

よくある質問(FAQ)

Q. 今回の改正で憲法が変わるのですか?

A. いいえ。今回改正されるのは、憲法改正の是非を問う「国民投票のやり方」を定めた国民投票法です。憲法の条文そのものを変えるものではなく、投票手続きを実務に合わせて整える内容です。

Q. 具体的に何が変わりますか?

A. 主に3点です。①悪天候で離島から投票箱を運べない場合の現地開票の立会人規定の整備、②投票立会人の選任要件を公職選挙法にそろえて緩和、③憲法改正案の広報放送にFM放送を追加、です。

Q. なぜ共産党とれいわ新選組は反対したのですか?

A. CM・ネット広告や運動資金の規制といった、国民投票の公平性に関わる根本ルールが欠けたまま手続きだけを進めるのは、改憲発議への地ならしだ、という理由です。改正の中身より進める順序を問題にしています。

Q. ネット広告の規制はどうなりましたか?

A. 今回の改正本体には盛り込まれず、7項目の附帯決議で「法改正を含む必要な措置を講じる」とされました。ただし附帯決議に法的拘束力はなく、2021年改正時からの課題が引き続き先送りとなった形です。

この記事を書いた人:あいすべ(監修・編集統括)

健診・治験の現場で10年以上、臨床データの精査に従事。地方公務員として公立病院に勤務し、経営推進課の責任者を経てマーケターに転身。データ検証と実践哲学(葉隠)の両面から、情報のバイアスを見抜く視点で「大和帰郷」を運営しています。資格・経歴は実在し、求めに応じて証憑を提示できます。。

→ 監修者プロフィールの詳細はこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次